ドリーン・バーチュー博士公認エンジェルセラピープラクティショナー(R)の千鶴が、天使からのメッセージをお届けします。エンジェルリーディングのセッション等については、私のHPをご覧ください♪


by lovingangelsnadia
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

祈る人

その人は冬の朝、北国のローカル線のホームに
立っていました。

次の電車まであと10分。

昨夜屋根に積もった雪が、
時折顔を出した太陽に溶かされ
水滴となってぽたぽたと落ちていました。

小さな乗換駅のホームには
地元の人が数人待っているだけで
雪は止んでも、体の芯まで冷えるような
寒さは変わらず、寂しい駅の光景が
それを余計に強く感じさせるようです。

「次の電車は2両編成です。
ホームの2両と書かれた場所でお待ちください」

そんなアナウンスが流れて、私は
2両と書かれた場所へ少し移動しました。

その人もまた、ホームの端から
こちらの方に歩いてきました。

でも、すーっと私の後ろを通り過ぎ
ホームの別の端の方まで行ってしまいました。
そこはすでに「2両」と書いた場所からは
離れてしまっています。

なんとなく気になって見ていると、
陽の当らない、私や他の人のいる屋根の下ではなく
ホームの端の、ある場所で
立ち止まりました。

彼はとても目立っていました。
他の人とは違った容姿をしているからです。
彼がある種の病を持っていることは
誰が見てもわかることでした。

「あったかそうだな~」
彼のいる場所を見て、私はそう思いました。
そこだけ雲の切れ間ができて
スポットライトのように陽が当たっているからです。
その朝は足を常に細かく動かしていないと
凍えてしまいそうな程の気温でした。
暦の上では春が来ていても
北国の寒さはこういうものなのか、と
身にしみて私は感じていました。

時計を見ると、あと少しで電車の到着時間です。
これから先一時間ほど、知らない町を目指して
初めての電車に乗る私は
その日差しの暖かさにはとても惹かれたのですが
安心して座るために、このままおとなしく
2両と書かれた場所で待っていようと思いました。

そう思い、足元の数字を確かめてから
何気なく、また彼の方を見てみました。

すると彼はさっきとは態勢を変えていました。
電車が入ってくる方向に完全に背を向けて
太陽の方向をまっすぐ向いて立っていました。
そして、ゆっくりと、その左手を上げました。

右手には小さなカバン、
そして左の手のひらを空に向け広げ
まるで知っている人に往来で会って
「やあ」とあいさつするようでした。

彼は手を上げると、今度はゆっくりと
頭をわずかに下げました。

それは「うん」とうなずくくらいの角度です。

その姿で佇む彼のいる場所は
まるで用意されていたかのように
明るく日差しが降り注ぎ
その中心に立ち
彼は左手に日差しを集めながら
まるで「誰か」と何かを話しているかのようでした。

でも、彼の方から何かを伝えているのではないような
そんな感じが私にはしていました。

左手を天に向かって差出して
彼は自分の掌を通じて何かを”受け取っている”
のではないかと。

「約束」

その言葉が浮かびました。

この人はきっと、「誰か」と何かを約束して来たんだ、
そして、それを今、確認している。
彼が今、何かをここで誰かに伝える必要はない、
なぜなら彼は常に自分を表現しているから。
そしてそれを見ている「誰か」が常に「いる」のを
彼は知っているから…。

何かをじっくりと確かめるかのように
数分間、彼はそのままの姿で立っていました。

それは、神聖で、とても美しいものでした。

私はそれをじっと見つめていました。
そして彼を通じて、私も何か特別なものに触れたことが
わかっていました。

彼は確かにその時「誰か」と話をしていました。
そして「何か」を受け取っていました。
それは「誰か」との「約束」の話なのかもしれません。
それとも、もっと違う話なのかもしれません。

「祈り」とは、
本当はこういうものなのかもしれない…。

あちこちの場所で、たくさんの祈る人を見てきましたが、
彼の姿は人間としての凛とした強さ、そして
尊さを私に強く感じさせました。

彼は祈りそのもの、でした。
そして彼を見ながら、また私も何かに触れて
一緒に祈っていたのです。

本当の祈りとは、その人そのものなのだと
私は思いました。

ガタンガタンと音を立てて、ゆっくりと
ホームに電車が滑り込んで来ました。

彼と私は同じ車両に乗り込みました。
私は席を見つけて座ると、彼がドアの前に
立っているのを見つけました。

次の駅に到着すると、彼は降りて行きました。
彼の少ない髪の毛が、冬の日差しと
残った雪の反射で、透けて見えました。

もっと姿を追っていたかったのですが
小さなその体は他の乗客に紛れてしまい
もう見つけることはできませんでした。
[PR]
by lovingangelsnadia | 2010-02-21 21:10 | 天使のメッセージ