ドリーン・バーチュー博士公認エンジェルセラピープラクティショナー(R)の千鶴が、天使からのメッセージをお届けします。エンジェルリーディングのセッション等については、私のHPをご覧ください♪


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自分の中の物語

ある曇りの秋の日、私は夢を見ました。
両親が亡くなる夢です。
そういう夢なら子供の頃にも何回か見たような気がしますし、
親子ならよくあることかもしれません。
しかし、この夢はまるで小さなシミのように私の記憶から消えずにいて
あることを思い出させてくれました。

数ヶ月前、母が長野に墓参りに行っていて留守になった実家に、
一泊することになりました。
前日が遅かったため、ほとんど寝ていなかったのですが
階下から父の気配がして、なんとなく無視することができずに
ノロノロと降りていきました。
ほとんど家を空けることがない母なので、父が一人留守番することは稀です。
そして、もっと稀なのは私が父と二人きりになることです。
だから正直、その日実家に泊まることで少しだけ気が重かったのは事実です。

私が小さい頃、父はとても厳しくて、しかも頑固な人でした。
小さな工場をやっていて、職人気質の融通が利かないタイプで、
それは私が結婚して家を出るまで変わることはありませんでした。
もちろん、父と二人だけで話す機会もなく、また話したいと
思うことさえありませんでした。

父は長女である私に対しては特に厳しく接していました。
手を上げたことも何回かあり、私は愛されてるとは思えませんでした。
どうして私ばかり?と思うことはありましたが。
実際父の私に対する評価は「かわいくない」でした。
子供の頃には何回もそう言われました。

確かに子供の頃の私は
甘えるのが下手だし、口答えはするし、すぐに謝らないので、
かわいくないのは事実でしたが・・・

その朝、台所でひとりお茶をすすっている父のところへ行くと
「お茶飲むか?」と気を使ってくれているのがわかるセリフを
言われてしまい、私はしぶしぶなのですが、向かい合わせで座りました。

父が私を待っていて、何か話したそうにしているのがわかりましたが
そんな状況になったことがあまりないので、そのときの私は
どんな顔して座っていたらよいのかもわからず、
ただ居心地の悪さだけを感じていました。

父がぼそぼそと語りだしたのは、娘である私が今まで全く知らなかった
そして、ひょっとすると知らない方がよかったとも思えるような内容の
いわゆるうち明け話、でした。

眠たさと居心地の悪さと、そして、父の話す物語の内容と
自分がこの人の娘であるという事実で、私は混乱するというよりは
ぼんやりとしてしまっていました。

仕事柄、個人的な秘密の話を聞くことはよくありますし、むしろ
それが私の仕事なわけですが、そういった類の話を
自分の家族から、それも親から聞くということは
全く仕事のときの状況とは異質のもので、
どうしていいかわからなくなったのが正直なところかもしれません。

しかし私は、ぼんやりとはしていても、父の話を無視することはできませんでした。
話終えた後で、私からどう感想を話していいか全くわかりませんでしたが、
淡々と語る父の姿に、今までの人生を振り返り、そしてそれが
今の彼にとって、決して満足できるものでなかったということが
じんわりと、だからこそしっかりと出てしまっていたからです。

父はどちらかと言うと話下手で、特にその日は起きぬけでしたので
ぼそぼそと、そしてまるで独り言のように話ていました。
おそらく、自分でも話そうと用意していたわけではなく、
なんとなくしゃべってしまったというのが本音でしょう。

横顔を見ながら私は「お父さん、泣いてる。」と思いました。
でも、本当に涙を流しているわけではありません。
事実私の前で涙を見せたこともありません。
もしかすると、父は自分が泣いていることに気が付いてないかもしれません。
でも、私には泣いているように見えました。

父の打ち明け話は、特に涙を誘うような悲しい話ではありませんでしたが
語るその表情からは、苦渋に満ちた悲しみが漂ってきました。
若い頃、血の気が多く、よく玄関先で取引先とケンカをして啖呵を切っていたり
大声で私をどなりつけたり、大食いで太っていたことなど
まるでなかったことのように、小さく細くなってしまった横顔を私は
はじめて真近で、目に焼き付けるように眺めていました。

そして話を聞きながら、昔のことを思い出していました。
ずっとずっと父が嫌いだったこと、そして愛されてるとは思えなかったこと
殴られて恨んだこと、けんかになるので話しをしないように避けていたこと。

それと同時に、私の結婚式の時にずっと機嫌が悪かったことや、
離婚したときに、私がとても不利な立場に立たされたことで憤慨していたことや
子供の頃、カメラを向けると変な顔をして皆を笑わせたことなど
愛情を感じられる思い出も、たくさん浮かんできました。

父はどうして泣いていたのでしょう。
人はもしかすると自分でもわからないで泣くことがあるのかもしれません。
だとしたら、父は今までの人生で何回泣いたのでしょうか。
顔は怒っていたとしても、そして私を叱り付けて鬼のような形相だったとしても
もしかすると、父は泣いていたのかもしれません。
そうやって、うまくいかないこと、思う通りにいかないこと
そして悲しみや憤りを、なんとか乗り越えて来たのかもしれません。

しかし、父の中にはたくさんの悲しみが、まるで雪がゆっくりと
降り積もるように確実に残っていたのです。
そして、ほんの一瞬、それを私に見せてくれたのでした。

もうちょっとだけでも、この人に優しくしてあげられないだろうか。

単純に私はそう思いました。
父と私にはどれだけの時間が残されているかわかりません。
でも、初めてそう思いました。

私には他にも手付かずのまま、あるいは途中のままでいる
物語がたくさんあります。
私自身のこと、そして子供たちのこと、母のこと。
でも、とりあえず父との物語が、ひとつ大きな節目を迎えることが
できて、それが私にとっては小さな喜びだということが
今の私にはとても嬉しく感じられるのです。
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by lovingangelsnadia | 2007-10-03 06:39 | エンジェルセラピー