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ドリーン・バーチュー博士公認エンジェルセラピープラクティショナー(R)の千鶴が、天使からのメッセージをお届けします。エンジェルリーディングのセッション等については、私のHPをご覧ください♪


by lovingangelsnadia
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ギャリコの世界

ポール・ギャリコという作家をご存じですか。
今大きな書店では、特集コーナーを作っているので
名前を知っている方も増えたのではないでしょうか。

彼の作品の中で有名なのが「雪のひとひら」
(新潮文庫刊 矢川澄子・訳)という一冊です。
「雪のひとひら」は小さな”雪のひとひら”が主人公で
彼女の一生をファンタジックに描いています。

ギャリコの表現で、とても素晴らしいのが自然の描写です。
シンプルですが、荘厳で、驚きに満ちていて新鮮です。

「雪のひとひら」は、小さな”雪のひとひら”が生まれおちて
最初に体験する、美しい田園の冬の朝の様子から始まります。

明けるにしたがって刻々と変わっていく空の色と、それに
照らし出される山々や村の風景。
生まれて初めて見る、その息をのむほどの美しさに
彼女はひれ伏すような驚きと感動を体験します。
そして、何かとてつもない大きな存在が、自分たち全てを
包んでいるのではないかと感じるのです。

しかし彼女自身の一生は至って平凡なものです。
でも、その中でも彼女は様々な体験をしていき、悩んだり
悲しんだり、苦労もします。
ただ、変わらないのは常にあるがまま、まさに流れに沿って
生きているということだけです。

やがてかけがえのない大切な存在に出会い、恋をし、
家族になります。
旅は続いていくのです。
そこには甘く優しい時間もあれば、困難に立ち向かう時も
あったのでした。

そして長い月日を経て、彼女が迎えた最後の瞬間に、
ある気付きが訪れます。
自分という存在の意味、さらに、
常に見守り続けてくれていた存在を「知る」のです。

そして”雪のひとひら”は、平安と喜びに満ち、
暖かさに包まれながら、天へと帰っていくのです。

”雪のひとひら”は、本当に小さく、よるべない存在です。
物語全体は、寓話的ですし、ファンタジーの世界です。
しかし、そこにあるのは、「存在としての美しさ」です。

取り立てて事件が起こるわけでもない、平凡な一生の
”雪のひとひら”ですが、実は、その人生全てが祝福にあふれていて
あらゆる出来事には意味があるのです。
そして、存在しているというだけで、すべてが美しいという真実に
彼女自身も気がつくのでしょう。

あまねく世界の中で、たった一粒の”雪のひとひら”は
見過ごされてしまうような、特徴のない存在かもしれません。
しかし、それは夜空に輝く星のように
たった一つの光、たった一つの輝きなのです。

ギャリコの著作を読んでいて感じたのは、「美しさ」というものは
「強さ、たくましさ」に支えられているのだということです。
存在が放つ輝き、その美しさは、決して一瞬で消え去って
しまうようなものではない、そう感じさせてくれるのです。

さらに、もうひとつの有名な作品「スノーグース」では、
動物を通して触れ合った、人と人との心の交流を描いています。

容姿が醜いために、世間を離れて鳥の世話をしながら生活する画家と、
決して愛嬌があるとは言えないけれど、本当は心の優しい女の子が、
傷ついた雁を助けることによって結びついていく物語です。

ここでも、現実は残酷です。
戦争があらゆるものや、人間のいのちも奪っていきます。
しかし、逆に、何物にも奪われることのないものもあるのだと
この物語はその厳しい現実を通して、教えてくれてもいるのです。

そこにあるのは、やはり「強さ」があるが故の「美しさ」です。
しかし、その「強さ」は、決してそれ単独では主張しません。
「強さ」のための「強さ」ではないからです。
あくまでも、添木のように、そっと、でも確実に後ろから支えて
いくためのものだからです。

はかないおとぎ話だから、ファンタジーだから、現実離れしているから、
ギャリコの描く物語が美しいのではなく、
自然の中にも、そこに住む動物にも、そして登場する人物にも
存在としてのしなやかな「強さ」が感じられるからこそ、
「美しい」と感じられるのだと思うのです。
はかなさのみが、美しさの定義ではない、と。
そうギャリコは、その生き物すべてを見つめる暖かいまなざしから
紡ぎだされる物語を通して語ってくれているのです。

不器用でも、大きな何かに翻弄されながらも、生きて行こうとする姿勢や
変化に対応しようとする力、あるいは変わらないものを持ち続ける意思。
人間も自然もそれは同じなのかもしれません。

小さくても、たった一つの輝きは、たった一つのものである限り
決して消えることはないのです。

きらめくような美しさ、信じがたいような光は、どんな存在も
元々持っていて、それは何物にも奪われることはなく、
永遠に輝き続けるのだと、彼の作品は教えてくれているのです。
by lovingangelsnadia | 2009-01-26 15:17 | 日常のひとこま